開口一番に「仏壇はどこに置くのか」

そうした価値観のズレが決定的になったのが、結婚17年目。転勤を機に東京に家を建てようと決めたときだった。費用の大部分は名古屋の両親から出してもらい、圭子さんは自分の思い通りに間取りやインテリアを整え、理想の一戸建を完成させた。

「そのお祝いに義父母が上京したとき、姑が開口一番に『仏壇はどこに置くのか』と言ったんです」

夫は長男なのでいずれは仏壇を引きとって守るのが常識。今すぐの話ではないが、心づもりはしておくべきだという姑の言葉に、ぷつっと頭の中で何かが切れる音がしたという。

「『なぜそうやって、自分の価値観ばかり押しつけるんですか!』と怒鳴り始めたら、これまでたまっていたものが噴き出してしまって」

涙ながらに訴える圭子さんに、姑は「『なぜもっと早く言わなかったのか』と驚いていました」。

しかし、そうして積年の思いを一気に爆発させてからは、姑も圭子さんの意見を聞いてくれるようになった。

圭子さんも、感情をごまかさず「嫌なものは嫌と正直に言います。帰省も夫と子どもだけで、私は顔を出さない。でも姑へのプレゼントは持たせています。どんなに嫌いな相手でも、縁は切れませんから」と、さっぱりした表情で語るのだった。

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縁切り上等の覚悟で夫の実家と距離をとり、それでも4人の妻全員が「夫にとっては大切な家族だから、細い縁だけは残しておきたい」と答えていたのが印象に残っている。

自由になっても、どこかで残るしがらみの糸。切っても切れない縁を背負って、妻たちは強く生きるのだ。

 


ルポ・「縁切り上等!」の覚悟で夫の実家から離れて
【1】「跡取りを産め」攻撃を拒否! 夫の実家との「縁切り」を決意した日
【2】夫と前妻のなれそめを語り出す姑に怒り心頭!