声の正体

すると葵の上は「いえ、違うのです」と言うではありませんか。

「思い悩む人の魂は、本当にその身体からさまよい出るものだったのですね」と言う声は、なんと六条御息所の声だったのです。

(写真提供:Photo AC)

葵の上の身体には、六条御息所の生霊が、乗り移っていたのでした。

そして、「こんなふうにして、あなたのもとに参上したいとは、けっして思いませんでしたのに」と言い、「どうかこのわたしの魂を鎮めてください」と、葵の上の身体を借りて、源氏に訴えます。