井上咲楽
(撮影:荻原大志/写真提供:徳間書店)
『新婚さんいらっしゃい!』のアシスタントMCを務めるなど、さまざまなテレビ番組で活躍するタレント・井上咲楽さん。「笑顔で明るくいつも元気」というイメージを持たれることもある井上さんですが、その半生は決して明るいだけではなかったそう。今回は、井上さんが抱えてきた不安や悩み、生きづらさなどについて赤裸々に綴った初のエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)から、一部を抜粋してお届けします。

2つの世界での苦しさ、逃げ出さなかった・頑張れた理由

地元での学校生活。東京での芸能生活。

どちらにも困難はあったけど、2つの世界があったからこそなんとかやってこられた。

学校で友だちに陰で悪口を言われていた時、孤立してしまった時。その悩みを少し相談した人には「高校生活は3年で終わるし、卒業したらほとんどの人は二度と会わない。長い人生のうちのほんの一瞬だから深刻になりすぎないほうがいいよ」とアドバイスをもらった。

正直に言うと、その言葉は素直に受け止められなかった。

高校生は毎日学校に行く。基本的には学校の人間関係が世界のすべてだ。大人から見ると、高校生の悩みは些細なことに思えるかもしれない。それは世界がもっともっと広いと知っているからだ。