82年、映画『蒲田行進曲』でヤスを演じ、大ブレイク。風間杜夫さん(左)と(写真提供◎平田さん)

しかし、『蒲田行進曲』でブレイクしたことは、平田さんにとって第2の転機ではないようだ。

――ええ、『蒲田』があったおかげで、山田太一さんのテレビドラマ『シャツの店』(86年)に出演が決まったり、NHK大河ドラマでも『独眼竜政宗』(87年)など、次々に出演依頼が来るようになりました。

この仕事で生活できて、また、家族もできてよかったんですけど、40代になった頃、このままでいいのかな、といろいろ考えて、フリーになったんです。これが第2の転機ですね。

このままじゃ役者として駄目なんじゃないか、結局つかさんからいただいた財産を食い潰しているだけだなとか。自分の役者としてのアイデンティティみたいなものに疑問が生まれて、自分が何をやりたいのかわからなくなった。それでいっぺん一人になってやってみよう、と思ったんです。

自分で携帯電話を持って、脚本をもらいに行って、ギャラなんかも相談で決めて、そうやって自分がもらえたとなるととてもいい気持ちになる。自分で生きるっていいじゃないかと思えるようになりました。