リズ ただ、私の希望としては、もっとコンパクトなマンションに引っ越してほしい。トイレが4つもある3階建ての一軒家にひとりで住んでいるのは無駄だし、近頃は独居老人を狙った強盗事件も多いでしょう。その点、セキュリティがしっかりしているマンションなら安心だから。

冨士 でも、この歳で引っ越しなんてしたら疲れて死んじゃうわよ。その前に、家の中のゴミを減らさなきゃならないし。

リズ 10年前から断捨離を勧めているけどね。カビの生えた本や私の趣味とは違う洋服、アクセサリーの山を残してもらっても、処分に困るだけです。

冨士 ひとりじゃ無理よ。ひとつひとつに思い出があるから。あなたは口ばかり出して、何も手伝ってくれない。

リズ いっそ鉄球で家を根こそぎぶち壊して、更地にしちゃえばいいと思う。(笑)

冨士 それなら私だって、独身でひとり暮らしのあなたのことが心配だわ。「他人の歯ブラシが同じコップに入っているのは耐えられない」と言うくらいだから、結婚は無理かもね。でも、別居でいいから大親友になれるパートナーを見つけてほしい。

リズ そんなこと言われても。私が子どもの頃から「何より怖いのは人間だ」「どんな人間も疑え」と言ってたのはママだよ。

冨士 だから私は離婚して、ちゃんとひとりで生きてきたんでしょう。

リズ そんなママの姿を見て育ったから、今さら結婚とか考えられない。少し前に、「毎朝の『生存確認』の習慣が突然途切れたら、あなたが喪失感に襲われるかもしれない。だから電話するのをやめようと思う」って言ってきたことがあったよね。でも、うちには猫と犬もいるし、独身の女友達とビデオチャットでおしゃべりしているから大丈夫。

冨士 そうは言っても、私が死んだら寂しいと思うわよ。まあ、埃をかぶったモノだらけの家を残して逝くから、片づけに追われて感傷に浸っているヒマはないかもしれないけどね。(笑)