ところが、37歳のときに、アダルトチルドレンとして育った女性のエッセイが私を変えてくれました。自分が長年抱えてきた生きづらさは、実は母からの過剰な期待と精神的な支配が大きな要因だったのだと気づいたんです。
それを機に《いい子》をやめようと思えるようになり、とてもラクになりました。自分の心に素直な生き方があることを、母にも知ってもらいたい。彼女が自分に課してしまっている呪縛から解放したい。それがカウンセリングを受けた一番大きな理由です。
そしてもうひとつ、私自身が母から解放されたかったという思いがありました。芸能界に入ってからも相変わらず母の期待は大きく、心のどこかで重く感じていたからです。
母は私の活躍を自分のことのように喜び、「これは私の娘なの」と、周囲に自慢したがる。私が「お嫁さんにしたい女優ナンバーワン」に選ばれたときはさぞ嬉しかったと思います。
2人で喫茶店に入っても、「見られているから、ちゃんとしなさい」と言い、みんなが期待する「東ちづる」を常に求めてきていました。そのたびに、私は真綿で首を絞められるように苦しく、母のことを以前のようには愛せなくなっていた。
でも、実母にネガティブな思いを抱き続けているのはしんどい。だから、一緒にカウンセリングを受けることで、2人とも解放されれば、と思ったのです。