カウンセリングを終えて20年も経つと、人工股関節の手術を受けることを1人で決めていて。「こっちの都合もあるから、もっと早く教えてよ!」と妹が怒ると、「なんで? 入院するのは私よ」と。
さらにこの前は、私の誕生日を忘れていたんです(笑)。「いい母親」であることに固執していた以前の母だったら、そんなことは絶対にありえなかった。
「何がほしい? お祝いの食事はどうする?」って、何日も前から準備していましたからね。でも、それだけ自分のことに目が向くようになった証拠です。
一方で、私自身もいい方向に変わることができました。カウンセリング前は、それまでよりラクになったとはいえ、相変わらず「いい子でいなきゃ」という思いが残っていて。人前で失敗したり、他人に自分の弱みを見せることに臆病でした。
ところが、カウンセリングで自分の弱い部分をさらけ出せたことで吹っ切れた。現在公開中の『まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり』という映画は、私が企画・プロデュースしたのですが、何のノウハウもない仕事への挑戦に、以前だったら躊躇していたと思います。
それができたのは、「初めてなんだから、失敗したっていいじゃない」「わからないことやできないことは、周りに聞いて助けてもらおう」と思えるようになったから。カウンセリングを経て、母と私はやっと子離れ、親離れができました。