自宅にて母と。愛猫も一緒に(写真提供◎東さん)

要介護になっても同居はしない

もともと、好奇心や探求心が旺盛な性格だったこともあり、母は85歳になった今も、「自分の人生をもっと楽しもう」と、ますますいい方向に変化し続けています。

妹が再婚して引っ越してから20年近くひとり暮らしをしていますが、「1人が一番気楽」と笑っているんです。現在は、うちから徒歩15分ほどのシニア専用マンションに住んでおり、そこでの催しに参加したり、週に一度、スポーツクラブに通って足腰を鍛えたり。

私の個人事務所の経理を任せており、知人に頼まれて着つけをすることもあって、何かと忙しい日々のようです。

先日は、私の勧めで「ピースボートクルーズ」に参加しました。大型客船で3ヵ月半かけて地球を一周する旅です。

乗船前こそ、「1人で大丈夫かしら?」と不安がっていましたが、乗船の際に感じのいい青年が母の荷物を運んでくれたら、たちまち上機嫌になっちゃって(笑)。1ヵ月半を過ぎた頃には「楽しくて、帰りたくないわ」とLINEが来たほどです。

母がひとり暮らしになったとき、うちの夫は「お母さんと一緒に暮らそうよ」と言ってくれました。でも、私は無理だと思いましたし、母も同居は望んでいません。

風通しのいい関係になったとはいえ、やっぱり親子ゆえの甘えや厳しさはなくならない。とくに私と母の場合は、一緒に暮らしたら、再び相手に期待して依存し合ってしまうのが明らかです。

妹は私と違い、子どもの頃から母に反抗し、自分の思いをぶつけてケンカが絶えない関係でした。でもそのぶん、共依存に陥らずに、なんとか同居もできていたのでしょうね。