「カウンセリングを経て、母と私はやっと子離れ、親離れができました」(撮影:宮崎貢司)
幼い頃から「いい子」を演じ、自分の気持ちを押し殺してきたという東ちづるさん。40歳のとき母と一緒にカウンセリングを受けたことで、それぞれが自分らしく生きられるようになったと言います(構成=内山靖子 撮影=宮崎貢司)

前編よりつづく

子離れと親離れを同時に達成

カウンセリングは、母と私それぞれで3回、合同で3回の計9回、約半年間に及びました。私の期待通り、母は自分の素直な思いを吐露できるようになり、徐々に変わっていったのです。

それまでは、「これをやってみたいんだけど大丈夫かしら?」と、何かを決めるときは必ず私に確認していました。一緒にお寿司屋さんに行って、私がマグロを頼めば、「じゃあ、私もマグロ」。イカを頼めば「私も同じのを」と。

それがカウンセリング後は、私が何を頼んだかなど確認せず、「私、サバをもう一貫」と、自分の意思を口にできるようになりました。

親や夫、子ども、友だちなど、他人の意見を優先させ、自分の本心を抑えていたことに、母は気づくことができたのです。私は涙が出るほど嬉しかった。