ジローとパクと
次の日の夕食時は、隣家の屋根にカラスが1羽とまっていた。いつも4羽のカラスが集合している屋根だが、その日はパクと名づけた1羽きり。夕方の空をバックにたたずむパクを見た夫が、「絵になるねえ」と言う。私にはひとりぼっちで少し寂しそうに見える。
彼も人間のように、「みんなどうしたのかな、今日はこないのかな」などと考えているのだろうか。本格的に暗くなる前にパクはさっと飛び立っていった。
仕事に明け暮れ、生活するだけで精一杯だった頃には考えられなかったようなゆったりした時間が流れていく時、幸せを感じる。
お金をかけてどこかに出かけるよりも、こんななにげない日常こそ、すごく贅沢で貴重な時間なのかもしれないと思う、今日この頃である。