2016年、23歳になった圭人さん(右)と(写真提供:岡本さん)

2021年、成人したその息子、岡本圭人さんと、初めての父子共演が実現している。フランスの劇作家フロリアン・ゼレールの舞台『Le Fils 息子』。父親と息子の役だったが、つらい芝居だった。

――あれ観ました? 息子が引きこもりになって自傷行為に走り、精神科病棟に入って……という哀しい作品なんだけど。台本を読んだだけで、重苦しい気分だった。全然楽しくないの。

だって芝居とはいえ、実の息子が苦しんでいる姿を見続けなきゃならないわけだからね……。まあでも、それで余計にお客さんの心に響いたとは思うんだけど。

楽しかったのは毎日芝居が終わってからですね。ご飯に行ったり、家まで送ったり。それに旅公演もあったし。24年に再演されて、そうすると稽古で3ヵ月くらい一緒にいたりね。

23歳で結婚したけど、その後、俺、別れちゃってるから。でも自分の息子は息子だし、お互いに演劇の道に進んで、こうやって共演できて、すごくよかったなと思ってます。

後編につづく


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