noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬についてのエトセトラ」。第2回は「生まれて初めての嫉妬」です
嫉妬は体の仕組みなんだから仕方がない
あなたは生まれて初めての嫉妬について覚えているだろうか?
嫉妬についてとことん考えるためにも、今回は私が人生で初めて抱いた嫉妬について思い返してみたい。
嫉妬はどうやら人間が1歳半頃からみられるようになるらしい。つまり、自我が芽生える時期とほぼ同時だ。なんてこった、まさかそんなに早いとは……。嫉妬は、嬉しい、楽しい、悲しい、腹立たしいなど、喜怒哀楽のような基本的な感情とも同列なのだ。
2、3歳になって新しい兄弟が誕生し、母親など特定の養育者が自分から離れるとネガティブな感情が生まれ、兄弟にいじわるをしたり、養育者に急に甘えたり、泣いたり喚いたりしてしまうことがある。いわゆる「赤ちゃんがえり」だ。自分が手にしていたモノ(この場合は愛情)を奪われることに対する不安や恐怖、それを取り戻したいという欲求、これは嫉妬の代表的な心理メカニズムだ。
養育者の愛情や保護がないと、赤ちゃんは生き延びることができないからだ。つまり、この嫉妬は間違いなく人間が生き延びるための仕組みだ。そう思うとちょっとホッとする。やはり嫉妬は、私のせいじゃない。体の仕組みなんだから仕方がない。