物忘れは<脳のサイン>  

また、今すぐ始められる生活習慣の見直しが、更年期脳に明るい変化をもたらしてくれます。

まず先述した食事をとりいれた食生活も、脳にとっては「毎日の投資」です。

朝食を抜かず、糖質とたんぱく質、ビタミンB群をバランスよく取り入れることで、午前中の集中力や記憶力に違いが出ます。

おすすめは、納豆ご飯に焼き魚、青菜のお浸しといった、和食スタイルの朝ごはん。さらに、鉄分は昼食に赤身の肉やレバーを、夜には青魚でDHA・EPAを意識的に摂るようにしましょう。食材の選び方を少し変えるだけでも、脳は確実に反応してくれます。

そして運動。たとえば、毎朝10分の散歩を習慣にしてみましょう。

軽い有酸素運動は、脳への血流を増やし、脳の神経細胞の再生につながります。運動を習慣化がある人ほど認知機能の維持が良好であるというデータも存在します。

また、夕方以降の過ごし方も重要です。スマートフォンやテレビの強い光は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げます。就寝90分前には画面を閉じて、照明も暖色系の落ち着いた灯りに切り替えてみてください。夜の読書やストレッチ、軽い日記など「自分に向き合う静かな時間」を持つことが、脳に休息と回復のきっかけを与えてくれます。

そして、日々の中に「脳を喜ばせる時間」を持つことも忘れずにいたいです。趣味や教養といった行動の中には、脳を活性化させるスイッチが潜んでいます。

更年期は、決してネガティブな時期ではありません。体も心も、そして脳も変化する今こそ、自分自身のケアに目を向けるチャンスです。

物忘れは、脳からの「ケアしてほしい」とのサイン。

「名前が出てこない」と、戸惑ったときこそ、食事や生活を見直して、脳に栄養と休息を与えいたわる行動を。その小さな一歩が、更年期という人生の通過点を、しなやかに乗り越え未来のあなたの「覚えている私」をつくっていくのです。