「更年期脳」をいたわる、栄養と食材

「更年期脳」をいたわるには、ホルモンバランスや神経伝達に関わる栄養素を意識してとることが大切になっていきます。そこで以下に、脳の働きをサポートする栄養と食材を紹介したいと思います。

●脳の神経伝達を整える栄養素

まず注目したいのが、ビタミンB群(B6・B12・葉酸)。神経細胞の代謝やセロトニン・ドーパミンといった神経伝達物質の合成に欠かせない栄養素です。ビタミンB6はトリプトファンからセロトニンを作り出す反応の補酵素であり、不足すると感情の不安定化や認知機能の低下が見られます。

また、ビタミンB12と葉酸はホモシステインという神経毒性を持つアミノ酸の代謝に関与しており、不足によって血中ホモシステインが上昇すると、認知症リスクが高まることも示唆されています。

ビタミンB群は、豚肉、レバー、卵、納豆、緑黄色野菜に多く含まれています。また、トリプトファンは“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの材料。大豆製品や乳製品、ナッツ、バナナなどから取り入れましょう。

●脳を構成する「脂質」と「たんぱく質」

青魚に多く含まれるDHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸は、更年期世代の脳を元気に保つために大切な栄養素です。DHAは脳の細胞膜をしなやかに保ち、情報をスムーズに伝える手助けをしてくれます。

一方、EPAには脳の炎症を抑え、神経細胞のダメージを防ぐ働きがあり、心の安定や記憶力を守るうえでも役立つとされています。これらは青魚(サバやイワシ)、エゴマ油などに豊富に含まれています。

さらに、たんぱく質は神経細胞やホルモンの材料になります。肉・魚・豆類・卵などをバランスよくとることが理想です。

●酸素と栄養を届けるサポート栄養

鉄は、体の中で酸素を運ぶだけでなく、気分や集中力に関わる「ドーパミン」や「セロトニン」といった神経伝達物質をつくるためにも欠かせない栄養素です。

鉄分が不足すると、脳の中のドーパミンが減り、注意力や作業記憶の低下を引き起こします。特に女性は、月経や出産などを通じて鉄を失いやすく、更年期前後の鉄不足は、脳の働きにも大きく影響すると考えられています。

鉄分をしっかりとるには、吸収されやすい“ヘム鉄”を含むレバーや赤身肉、しじみ、ひじきなどがおすすめです。さらに、鉄の吸収を助けるビタミンCも一緒にとると効果的。果物やピーマン、ブロッコリーなどを組み合わせて食べると、効率よく鉄を体に取り入れることができます。