「最近、人の名前が出てこなくなった」「買い物に行ったのに、何を買うか思い出せずに帰ってきた」歳を重ねてなんだか忘れっぽくなった、などと感じる人も多いのでは。一方、通常の診察では解決できない体の不調に<栄養学的なアプローチ>を用いた治療と生活指導を行っているのが総合内科専門医の梶尚志先生。その梶先生いわく、40代後半から50代くらいに差し掛かった女性が、急に物忘れが多くなった場合は要注意とのことで――。
「もしかして若年性認知症?」と思ったら
まだ40代、50代なのに「物忘れ」が続くようになると、「もしかして若年性認知症では…」と不安になる方も少なくありません。
しかし、こうした記憶の揺らぎの多くは、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少に起因する「更年期脳」と呼ばれる一過性の現象であることが、近年の研究で明らかになってきています。
「更年期脳」という言葉は、医学的な正式用語ではありませんが、更年期に見られる脳機能の一時的な変化を指して用いられる表現です。
具体的には、記憶力の低下、注意力や集中力の散漫、思考の鈍化や「頭がもやっとする」感じ、イライラや不安感、涙もろさといった感情の起伏の激しさなどの症状があげられます。
これらは一過性の機能の変化であり、認知症のような神経変性を伴う疾患とは違うことも知っておきたい大事な点です。