誰もが憧れるピンピンコロリ

高齢者は、死ぬ直前まで元気でピンピンとしていて、コロリと死んでしまう「ピンピンコロリ」を望んでいる人が多いですが、ゴルフ場では、本当に「ピンピンコロリ」の人がいます。

パターをするグリーン上で倒れて亡くなってしまう人がいるのです。

私は医者ですから、ゴルフの最中に倒れた人の救護に呼ばれることがあります。なかにはお亡くなりになる人もいます。

直前まで元気にゴルフをしていて、突然お亡くなりになったのですから、まさしく誰もが憧れるピンピンコロリです。

ゴルフとピンピンコロリは、どんな関係なのでしょうか。

寝たきり手前の状態を、「フレイル」と言います。いきなり寝たきりになるのではなく、だんだん身体機能が衰えて、フレイルになり、やがて寝たきりになる。長い時間をかけて進行していきます。

そして寝たきりになった後、多くの人が、肺炎やがんなどさまざまな病気で亡くなります。

ですが、よく歩いている人はフレイルにならず、寝たきりになりにくいです。体はずっと元気で、突然、心臓や脳の病気で亡くなることが多い。

心臓や脳の病気で亡くなるのは、寿命で亡くなることと同じだとみなしてよいでしょう。

ゴルフ場やゲートボール場に通われている高齢者は、世間一般の高齢者と比べると、特殊な集団と言えるのかもしれませんが、私は、その人たちから学ばせていただくことがたくさんあります。

 

※本稿は『歩く人はボケない 町医者30年の結論』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

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歩く人はボケない 町医者30年の結論』(著:長尾和宏/PHP新書)

町医者を30年、臨床医を40年行なってきた私が断言できるのは、毎日歩行する習慣を持つと、認知症をはじめとする生活習慣病の大半は予防できるということです。
歩行といっても長い距離を速く歩く必要はなく、スキマ時間にちょこまか歩くだけで充分。薬いらずの、歩行と食事の健康習慣をご紹介します。
歩くと認知症が予防できる理由は他にもあります。是非、歩くことをささやかな快楽にしてみてください。