(写真提供:Photo AC)
日々の子育てで疲れを感じることはありませんか?感性アナリストの黒川伊保子さんは、最新の脳科学と自身の育児経験をもとに、「母親は、自分にできることと、したくないことを見極めて、自分らしい子育てをすればいい」と語ります。今回は、黒川さんの著書『子育てのトリセツ 母であることに、ときどき疲れるあなたへ』から一部を抜粋し、紹介します。

脳の縁は、血にせまる

脳科学の仮説から言えば、血のつながらない親子であっても、母になった人と子の二つの脳の脳波が同調して呼び合った可能性が否定できない。

以心伝心が起こる際、遠隔地にある二つの脳の脳波が同調することが確認されている。脳はさまざまな奇跡を起こす。縁あって母と子となる2人の間に、互いを呼び合うくらいの奇跡が起こっていないわけがないと、私は確信する。

私たち夫婦は、息子が生まれたとき、フィリピンの男の子のフォスターペアレントになった。フォスタープランは、外食を1回我慢するくらいの月額で、貧困地帯の子どもが学校に通うことを支援できる養い親制度で、特定の子の小学校入学からハイスクール卒業までの12年間をカバーする。

これに申し込んだ理由は、怖かったからだ。夫と私のそれぞれの実家にとって初孫になった私の息子には、降り注ぐほどの愛と物資が与えられた。けれど一方で、この星には、貧困にあえぐ子どもたちがいる。私には、それが、悲しいというより怖かった。ほんの少し何かが違っていたら、この息子の魂がそこに生まれたかもしれないと感じたからだ。

息子と、小学校にも満足に通えない貧困地帯の子どもたちには、紙一枚の差しかない。あのとき、その「僅差」が怖くて怖くてたまらなかった。何かせずにはいられなかったのだ。