母親とは、かくも愚かなほどに……

母親でない人の目線で言えば、「そんなの、多くの新生児に起こった普通のこと。一晩の不安なんて、覚えていないって」と笑い飛ばすことだろう。

私自身、脳科学をたしなむ者として、脳には2歳までの文脈記憶(ひとりぼっちで放っておかれたような状況や因果関係を含む記憶)は残らないことをも知っている。なのに、その悔いは、20年を超えて、私の心に鉛の塊のように沈んでいた。

母親とは、かくも愚かなほどに、子どもにすべてを与えたいものなのである。

※本稿は、『子育てのトリセツ 母であることに、ときどき疲れるあなたへ』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。


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