母親とは、かくも愚かなほどに……

母親でない人の目線で言えば、「そんなの、多くの新生児に起こった普通のこと。一晩の不安なんて、覚えていないって」と笑い飛ばすことだろう。

私自身、脳科学をたしなむ者として、脳には2歳までの文脈記憶(ひとりぼっちで放っておかれたような状況や因果関係を含む記憶)は残らないことをも知っている。なのに、その悔いは、20年を超えて、私の心に鉛の塊のように沈んでいた。

母親とは、かくも愚かなほどに、子どもにすべてを与えたいものなのである。

※本稿は、『子育てのトリセツ 母であることに、ときどき疲れるあなたへ』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
赤ちゃんにはどんなことばを話しかけたらいい?脳科学の専門家・黒川伊保子「3歳前に脳内の記憶文脈の関係性はいったん壊れてしまう。なので…」
黒川伊保子 息子の誕生をきっかけに<フォスタープラン>に申し込んだワケ。「血がつながっていてもいなくても、子と出逢ってより添うことで、私たちはいくつもの奇跡に出会い人生の真実を知る」
夫も子どもも自室があるのに、自分の居場所はダイニングテーブル。落ち着く時間がありません。そんな悩みの回答は?

子育てのトリセツ 母であることに、ときどき疲れるあなたへ』(著:黒川伊保子/ポプラ社)

母であることに、ときどき疲れるあなたへ、子育て疲れの特効薬を贈ります。

人工知能や脳科学の専門家として、生き方の指南書が好評を呼んでいる著者による子育て本の決定版!