後輩達が進みやすい道を、ならしていく
今は、育っていく後輩たちを見守るのも楽しいです。私の53歳の誕生日を、TBSの後輩アナウンサーだった田中みな実さんが、ジェーン・スーさんとお祝いしてくれました。みな実さんは私たちの介護士のような存在です(笑)。昨日も「お芝居見に伺うの楽しみにしています」とLINEが来て、「かしずくシーンがあるから膝をすりむいちゃって」と送ったら、「堀井さん!膝は大事ですよ!心配です!」というようなアドバイスをいただきまして。
いつも「これやったほうがいいですよ」「これおすすめです!」と一生懸命説明してくれるのですが、世の中の女性が欲しがる田中さんの美容についてのアドバイスに「マジか〜」「ほほう」と言って、結局何もやらないという(苦笑)。昔から彼女は義理堅いですし、こうしてよく連絡をくれたりするので、嬉しいですね。
今の時代、後輩たちにはこちらから声をかけにくいですし、向こうも気をつかってくれるので、変な距離感ができてしまうことも。それは会社員として管理職をやっている時もそうでした。教えてください、と言える人と言えない人がいて、来てくれるほうの子につい丁寧に教えてしまうところはありましたね。
私が新人の時代は、「コレいらないから」と、スーツやアクセサリーを強引にくれる先輩とか普通にいました(笑)。昭和の時代は距離が近かったんですよね。今は自分が先輩の立場になりましたが、絶対にしませんね。私が1回着た服とかいらないだろうと思うし(苦笑)。後輩たちには、服やバッグ、金品や物をあげるより、自分の持っている知識や気持ちをどんどんあげたい。後輩たちには、自由にやってほしいんです。私たち、君たちが進めるように、道はできるだけならしておくからね、という気持ちでいます。
もうこの年齢になると、教えてくれたり叱ってくれる人もいなくなりますよね。だから、今回の舞台に挑戦してよかった。最初は、自分ばかりダメ出しされて申し訳ない、という気持ちでしたが、今は「もっとください」という感じです。凝り固まった自分の考えを変えてくれる機会があることは、いくつになっても有難いことですね。
『フェードラ-炎の中で-』
HP:https://fukasakugumi.com/phadra/
日程・会場:
2025年6月26日(木)~6月29日(日) 東京・銕仙会能楽研修所
2025年7月5日(土)~7月6日(日) 茨城・水戸芸術館ACM劇場[特設能舞台]
作:ニノ・ハラティシュヴィリ
翻訳・ドラマトゥルク:大川珠季
音楽・演奏:西川裕一
演出:深作健太
出演:フェードラ 堀井美香、アカマース 市川蒼、デモフォーン 白又敦、ペルセア 佐竹桃華、パノペウス 宮地大介、テーセウス 加藤頼