そういう意味では、この3月に3度目の舞台を踏む『サンセット大通り』のノーマ・デズモンドは、今の私にピッタリの役。ノーマはかつての栄光にすがっているハリウッドの元大女優で、劇中では50歳という設定。私も今年同じ年齢になるので、リアル・ノーマになっちゃう(笑)。

トップの座からどん底まで落ちてしまったけれど、もう一度上を目指したいと野心満々の彼女の心境も、同じ女優としてよくわかります。ちょっぴり背伸びをしていた8年前の初演よりも、今のほうがきっと違和感なく、みなさんにも観ていただけるはず。年齢を重ねれば重ねるほど、いい味のノーマが演じられそうなので、今回の舞台もとても楽しみです。

 

天国と地獄を行き来して

とはいえ、性格的な面では、若い頃とぜんぜん変わってないですね。ヘンに頑固なところとか(笑)。団体生活が大の苦手なので、宝塚時代も「寮に入るのは絶対にイヤ!」と、ずっと一人暮らしをしていました。

負けず嫌いなところもまったく変わっていません。3回落ちて、4度目の正直で受かった宝塚音楽学校の入学試験も、先に受かった人たちに負けたくなくて、半ば意地になって受け続けていました。さすがに、3度も落ちたときは、もう諦めようと思ったんですよ。もし4度目も落ちたら、どんだけ自分がヘコむんだろうって。

でも、そのときに「もう1回チャンスがあるのに、そこに賭けなくてどうする?」って父から言われて。「今まで3回やってきたんだから、あと1回なんて簡単だ」って。

在日二世として、苦労して財を成した父はワンマンで、とても厳しい人でした。そんな父に対して私は常に反抗的で、そのときも「受けろ!」「いや、受けない!」って、ものすごく抵抗したんですよ。それでもやっぱり諦めたくないという思いで4度目の受験を。受かったからよかったものの、もし落ちてたら、どれだけ父を恨んだことか。(笑)