「食べる速さ」が食事量に影響する

さらに「食べる瞑想」は、胃腸の負担も軽くしてくれます。

ゆっくり味わうと、自然と噛む回数が増えますね。すると、口の中での唾液アミラーゼによる消化が進んだ状態で、食材を胃に入れることができるようになります。そのため、あまり噛まないまま飲み込んだときと比べて、胃腸にかかる負担はずっと軽くなるわけです。

また、「満腹中枢」と呼ばれる神経は、血糖値の上昇によって刺激されるのですが、ゆっくり時間をかけて味わっていると、その間に血糖値が上昇していくため、満腹感を感じやすくなります。

逆に早食いをしてしまうと、血糖値が上がる前にどんどん食材が胃の中に入っていくので、血糖値が上がる頃には必要以上に食べすぎてしまいがちに。実際、厚生労働省の調査では、食べるのが速い人ほど肥満度が高いという結果が示されています。

食事に時間をかけることは、肥満の防止にもつながるのです。

おやつなどを食べるとき、疲れやイライラを鎮めるために、むさぼるように口に入れている人もいるかもしれません。

しかし、一時的な快楽を得るために暴食しても、それほどの満足感は得られないものです。むしろ「ああ、また食べてしまった」という罪悪感によって、余計に気分が下がることもあります。

そんなときは、食べるのを我慢するのではなく、「食べる瞑想」を取り入れながらじっくりと味わってみましょう。

※本稿は、『食べる瞑想:幸せな毎日が続く「新しい心の整え方」』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

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