そんな状態ですので、動ける体を維持するために、やらねばならないことが多々あります。毎朝5時50分に起床して、まずは前庭機能低下症防止のためのリハビリ体操、次に腰痛防止のインナーマッスル体操。さらに全身の筋肉をほぐすためのストレッチを行います。

6時半になったらラジオ体操をして、その後は近所の林試の森公園を、30分ほどウォーキングするのが日課です。以前は毎日6000歩は歩いていたのですが、最近は長く歩くと膝や腰が痛むので、1日3000歩程度を目標にしています。それも途中、2、3回ベンチで休みながら。

ラジオ体操をするときは、歌を歌いながら体を動かします。声を出すことが健康にいいと聞いたので、声楽も習っているんですよ。

もちろん、体操もしたくない、散歩にも行きたくないと思い、お休みする日もありますが、運動を休むと、たちまち体の衰えを実感してしまう。「継続は力なり」と自分に言い聞かせ、翌日はまたウォーキングに出かけます。1週間ほど運動をサボると、足が萎えていくのがわかるのです。

遠方に出かけるときは、さすがにタクシーも使います。けれども、いくつになっても自分の足で歩き、自分の力で生活したい。そうして背筋を伸ばして日々を過ごすことで、学会事務局や「昭和のくらし博物館」のスタッフたちも私を信頼してくれるのではないでしょうか。

寝たきりになって、みんなを不安にさせたくはありません。そのために心を鬼にして、毎日の体操とウォーキングを自分に課しているのです。

後編につづく

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