「目の前の便利さや快適さにただ流されるのではなく、自分の頭と体を使うことが老化防止につながるのだと思います」(撮影:藤澤靖子)
東京・久が原にある「昭和のくらし博物館」館長で、生活史研究の第一人者である小泉和子さん。ひとり暮らしをしながら、91歳の今も研究を続けるために、毎日体操とウォーキングを続けているという小泉さん。さらにもうひとつ、動ける体を維持する秘訣はがあるそうで――。(構成:内山靖子 撮影:藤澤靖子)

前編よりつづく

家事を楽しむことが老化防止に

もうひとつ、私の心身を支えているのが、家事です。これは老化防止になりますよ。たとえば料理。私は今でも1日3食、自分で食事の支度をしています。また、うちには週に1度、経理をお願いしている方が来てくれるので、せめてものお礼に手料理をご馳走しているのです。

施設に入所している妹を月1回外出させて、友人を呼んだり、スタッフと昼食会をしたり。スタッフの誕生日や、そのほか、仕事で来た人にもよく食事を出します。お客様を料理でもてなすためには、あらかじめ段取りを考えておかねばなりません。

パスタにするなら、冷凍庫に保存してあるバジルソースを解凍しておく。鱈の西京漬けを焼くときは、事前に酒粕に漬け込んでおく。季節に合わせたメニューも考えなくてはなりません。クロスワードパズルを解くよりも、いい脳トレになるのです。

今でもぬか漬けは自分で漬けていますし、最近まで、梅干しも漬けていました。梅のヘタを取って、天日干しにしてから漬け込む作業は面白いですよね。