ダイエットによるエネルギー消費量の変化

では、エネルギー摂取量よりもエネルギー消費量をどのくらい多くすれば、体重や体脂肪量が減るのでしょうか? 1グラムの脂肪組織には、おおよそ7キロカロリーのエネルギーが貯蔵されています(脂肪そのものは1グラムあたり9キロカロリーですが、組織の場合には水分が20パーセント含まれるので、この値になります)。

たとえば、エネルギー摂取量よりもエネルギー消費量を毎日100キロカロリーずつ多くした場合、1日で約14グラム(100 kcal÷7 kcal/g ≒14 g)の脂肪組織が減り、1年後には5キログラム(14 g×365日=5,110 g)の脂肪が減少するという計算になります。

しかしながら、実際にはこのようなダイエットを行ったとしても、最初の頃は順調に体重が減っていくものの、次第にその減り方がゆるやかになり、最終的には1年間で2キログラム程度の減量にとどまることが知られています(2)。では、なぜこのようなダイエットの停滞期をむかえてしまうのでしょうか?

2ページ目の図に示したように、基礎代謝量を推定する際には体重の値を使います。つまり、基礎代謝量は体重によってその値が変わり、ダイエット前と同じような生活を送っていたとしても、ダイエットによって体重が減ることで、基礎代謝量も減ります(体重が軽くなって体が小さくなるほど、その生命活動を維持するのに必要なエネルギーも少なくてすむようになるためです)。したがって、体重減少量にあわせて食べる量も減らさないと、ダイエット後の体重を維持できなくなります。

同様に、活動時代謝量も体重によって変わるため(3ページ目の図)、ダイエットで体重が減った場合には、ダイエット前とまったく同じ運動を行ったとしても、そのときのエネルギー消費量は少なくなります(例:同じ1時間の歩行運動でも、体重が60キログラムの場合には252キロカロリー消費できていたものの、50キログラムになると、210キロカロリーに減ってしまいます)。それゆえ、体重が重いとき(ダイエット初期)のほうが、同じ運動をしたとしても、体重が減りやすく、ダイエットが進むにつれて、その効果が現れにくくなるのです。