過酷なダイエットの影響
ダイエットで減らしたいのは脂肪組織だけで、脂肪以外の組織(「除脂肪組織」といい、筋肉などがこれに含まれます)はできるだけ減らしたくないものです。しかし、減量した場合、残念ながら脂肪組織だけではなく、除脂肪組織も減ってしまいます。
とくに、「水しか飲まない!」といったように、エネルギー摂取量を大きく減らすことで体重を落とすような過酷なダイエットを行った場合には、いくら脂肪の多い肥満者であっても、脂肪組織だけでなく、除脂肪組織も大きく減少してしまいます(3)。その結果、どのようなことが起こるのでしょうか?
先ほど述べたように、基礎代謝量は生命活動を維持するためのエネルギー量ですが、その値は臓器によってかなり違います。たとえば、脂肪組織(脂肪細胞)1キログラムの生命活動を維持するために必要なエネルギー量は、1日あたりわずか4.5キロカロリーですが、除脂肪組織の一つである筋肉では、脂肪組織の3倍にあたる13キロカロリーを使います(4)。
したがって、ダイエットで体重を同じだけ減らしたとしても、筋肉が少なくなってしまった場合には、基礎代謝量がより多く減ってしまいます(このように、基礎代謝量は除脂肪組織量によって左右されるため、除脂肪組織量から基礎代謝量を推定する式もあります(4)。その結果、ダイエット後の体重を維持するために、エネルギー摂取量をより多く減らさなければならなくなる→エネルギー摂取量をより多く減らすことで、除脂肪組織(筋肉)がまた少なくなる→基礎代謝量が減る……という悪循環に陥り、リバウンドの原因の一つになってしまいます。