高齢者が慎重になるエスカレーター
一方、エスカレーターに足を乗せるタイミングがつかめず、こわごわとされている高齢者の方を見かけることがあります。
これもまた筋力の衰えを象徴する一つの兆候といえるでしょう。こうした状況に陥ってしまうのは、タイミングを逸したとき、後ろに倒れてしまいそうな怖さを感じるからです。
おそらく、エスカレーターに乗ったときに、その勢いに負けて後ろに倒れそうになったという経験があるからではないでしょうか。だからタイミングをとるのにより慎重になってしまうのです。
一般社団法人 日本エレベーター協会によると、エスカレーターの運転速度は分速20~30m(時速1.2~1.5km:低速~標準)で、スーパーマーケットなど小さな子どもや高齢者などがよく利用するような場所では、分速20m前後とする配慮が見られるそうです。
ちなみに、日常生活における歩行速度は、平均分速70~80mといわれています。
若い人や筋力がある人にとって、エスカレーターの運転速度はなんら歯牙にもかけないことだと思いますが、一方で脚筋力が衰えた高齢者にとっては、楽にからだを運んでくれる文明の利器である半面、危険と隣り合わせといえるかもしれません。