歩けなくなる恐怖

あらゆる病院を回りましたが、どこも原因解明には至りませんでした。

当時はまだ放送大学講師、読売教育賞審査委員会座長、中央教育研究所理事長、東京教育研究所所長の他に、つくば市にある筑波技術大学の経営協議会委員などの役職を務めていました。技術大の学長さんは神経内科の医師でもあったので、相談に乗ってもらったのですが、先ず言われたのは「老人で一番怖いのは、歩けなくなることしゃべれなくなることです」ということでした。

『ALS 苦しみの壁を超えて――利他の心で生かされ生かす』(著:谷川彰英/明石書店)

症状はまさに学長先生の言われたように進行しました。500メートル歩けたものが200メートル、100メートルと縮まり、ついに50メートルも歩けなくなりました。

一体なぜなんだ! どういうことなんだ?――原因がわからないまま苦悶の日々が流れました。