お世話になった方への恩返し
山梨で暮らしながら、まだ自分にできることがあるはずと考えた時間が、今の私の糧になっています。コロナの自粛期間は先が見えず鬱々としがちでしたが、大好きな手芸や料理、菜園作りなど別荘での暮らしを少しずつユーチューブにアップ。視聴者の方から感想もいただいて、やりがいがありました。
なかでも思いがけないご縁で始まったのが、ジャム作り。21年の夏の日、玄関前に大量のプラムが置いてありました。近所の農家の方からの《田舎置き》をありがたくいただいて、ジャムを作ったんです。お礼にと持参したら、おいしいとすごく喜んでくださって。「コレだ!」と閃きました。
保健所の許可を取り、工房を作って、移住から1年半後に「ジャムオブワンダー」を立ち上げたんです。さらに、母の介護で出会った皆さんにも助けられ、地元の社会福祉施設で製品を一緒に作ることに。
無添加のジャムは、ウェブサイトや道の駅などで販売するとすぐに売り切れてしまう人気商品になりました。お世話になった方に少しでも貢献したいので、今後も続けていくつもりです。
母の死から1年あまり経ち、私も63歳となりました。人生、何が起こるかわからないものですね。というのも、再々婚するつもりはなかったのですが、コロナ下で、お互い病気になった場合を考えて、パートナーと22年に婚姻届を出しました。
昨年から、BSで歌番組のメイン司会の仕事もいただいて、演歌や歌謡曲が好きだった母が観たら喜んだろうと思います。そして、このほど東京・渋谷区でエステサロンをオープン。日々がんばっている方がリラックスできる場所を作りたかったのです。
どうも私の人生は、盛りだくさんのようですね(笑)。思いついたら即行動。私が一番もったいないと思う時間は、くよくよ悩む時間かもしれません。
私は今、最後に母と過ごした時間を振り返り、「どんなことにも意味がある、どうせやるなら潔く、心配しなくても帳尻が合うようになっている」と考えるようになりました。
これは母が残してくれたギフト。だから私は、遺影に向かっていつも声をかけているのです。「私を産んでくれてありがとう」って。