そして、この世界を目指す第1の転機は、その個性的な母上によって方向づけられたらしい。
――大学を卒業する時に、就職するより笑いと音楽の道に進みたいなと思ったんですね。お袋にそう言ったら「ああ、いいんじゃないの。たくさん親戚がいる中で、一人くらいそういう馬鹿がいても」って。ずっと後になって兄貴から聞いたんですが、お袋は「あ、裕司? あの子は大丈夫。絶対売れるから」って言ってたそうなんです。
親父は国鉄技術研究所勤めで、新幹線を作るのにも貢献している堅物だと思ってたら、実は趣味が八ミリカメラで、近所の人を集めて映画を作ったりしてたんですよ。芸能の血筋については母方だけかと思いきや、親父の血も入ってた。それを知った時は驚きましたね。
と、まぁとにかく、母親に「いいんじゃない?」と言われた時が、第1の転機と言えるでしょうね。

