「何でも一人で気負わずに、楽に生きていく気持ちを大切にする。その中で、お金で買えないものも得られたと思います」撮影:大河内禎

「いつだったか『50歳を過ぎると、子どもも手が離れるから、どんどん自由になれるんですって。私もなれるかなぁ』と夫に話したんです。そしたら、『えっ? キミはずうっと前から自由にやってきたじゃないか』なんて言われちゃって。ええ、確かにそうですけどね。『キミは、じつにいい眠りをしているねえ』とホレボレされちゃったこともあります。私がイヤなことがあってもため込まず、『おやすみなさい』と横になった直後にカーッと眠れて、翌朝スッキリ目覚められることが、うらやましいみたい」(2009年)

 

時間のヘソクリを積み重ねて

1996年から17年半の間には、情報番組『はなまるマーケット』の司会を務めた。

「私、基本的に他人から聞いただけの情報では満足できないんです。自分のこの目で、この耳で、確かめたい。だから新しいお店にはどんどん行くし、『はなまる』に「渦中の人」がゲストとして来たら、『こんな噂がありますが、ホント?』って直接聞いてしまうことも。これは性分なんでしょうね」(2005年)

好奇心で突き進む岡江さんは、50代で海外にホームステイに行ったことも。一緒に旅行に行く予定だった友人の都合が悪くなり、それならばとひとりカナダへ。その行動力は仕事と子育ての日々を通して獲得してきたものだった。

「仕事に行くとき、母親が『ごめんね』って思うと、子どもの重荷になる。だから、楽しい世界に『行ってきま~す』って出かけるようにしていました。母親の後ろめたさより、働くのが当たり前だと感じてもらえたほうがいいですから。もちろん周りの人たちの協力あってのことですけどね。何でも一人で気負わずに、楽に生きていく気持ちを大切にする。その中で、お金で買えないものも得られたと思います」
(「表紙の私」『婦人公論』2005年12月7日号)