●「職員が部屋を出入りする回数」というポイント

たとえば、「ナースコールを押すほどではないけど、ちょっと職員さんの手を借りたい……でも迷惑かな……」と悩む場面。

多床室では、偶然訪れた職員に「ちょっと手を貸してもらえますか?」と気軽に声をかけやすいです。このような小さなお願いができることは、利用者さんにとって精神的な安心感につながります。

もちろん、費用面やプライバシー、生活音の有無といったポイントも大切ですが、意外と見落とされがちな「職員の出入りの回数」は、日々の生活の満足度に大きく影響を与えます。

 

施設選びをする際には、費用や環境だけでなく、こうした職員の関わり方の違いにも注目してみると、良い施設選びにつながるはずです。

そのうえで、多床室がいいか個室がいいかは、ご本人の性格や希望、体調次第によって異なります。

「他の人と交流するのが好き」「何かあればすぐ職員に相談したい」という方には多床室が向いているかもしれません。

一方で、「ひとりの時間を大切にしたい」「静かな環境で過ごしたい」という方には個室が合っているでしょう。

 

※本稿は、『読むだけで介護がラクになる本』(のぶ:著/すばる舎)の一部を再編集したものです。

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読むだけで介護がラクになる本(のぶ:著/すばる舎)

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