ポリシー

この業界は、いずれは医師免許を持っていないヤツが勝ち組になると思う。医師免許がなければ、もっと上手く、自由に運営できていると思うから。

医師免許が邪魔するのよ。持っているとやってしまうの、全部自分で。大将が後ろに下がっていれば、大局を見ながら計画を練って、ここを落として、こう進め……とか戦略を立てられるのに。でも、自分が槍を持って戦っちゃうとダメなの。戦局が見えない開業医とかだったら、伍長とか小隊長くらいのヤツが開業して上手くやると思うけど。もう前線には出ないって決めちゃったヤツが大戦力を動かせると思う。ごく当たり前にそう思う。

本当は、“直美”(※)で美容外科だけをするのなら、わざわざ医師資格を手間をかけて取る必要はないと思う。スイーツだけを作るのに、何も料理学校に行ってコース料理全体を学ばなくても良いってこと。美容外科医は新たに“美容士”とかの資格を作って、それに特化して全国展開すればものすごく発展すると思います。

医者にする必要はない。医者は患者の“死ぬか、生きるか”が根本にある。内科をやるのが本道で、切ったりするのは外道だから外科医なんです。

外科のうちでも一番底辺にいるのが形成外科医で、そのまた下にいるのが美容外科医。もう医者じゃないのよ。それだけをするのなら、“美容士”でいいと思うの。「二重瞼しかできん!」とか「シワ取り注射しかできん!」とか、それくらいだったらそんな資格でいいと思う。そうしたらもっと人数を増やせるし。

そういう戦略を立ててやって行くほうが絶対に楽しいです。アメリカで大病院を経営している医者なんていないです。経営者として有能であって、名外科医が経営も担っているなんてことはありえない。

※医局に入らないで、「使って欲しい」とやってくる医者のこと。

※本稿は、『高須の遺言』(講談社)の一部を再編集したものです。

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高須の遺言』(著:高須克弥/講談社)

‘14年にガンを発病してから約11年。

現在、全身ガンで闘病中の高須は、集大成となる作品を綴るために最後の筆を執りました。