楊 台湾では、レズビアン小説を含むLGBTQ文学を「同志文学」と呼び、80年代から発表されてきました。一方、「百合」という言葉が台湾で使われるようになったのは2004年頃で、比較的新しいものです。
私が考える百合とは、女性同士の友情から性愛までのあらゆる関係性の中で互いが成長していくことなので、日本で使われている意味とは確かに異なりますね。
角田 日本では近年、女性たちの連帯を表す〈シスターフッド〉という言葉が使われるようになり、そうしたテーマを扱う作品も増えています。台湾の百合小説は、それに近いのかなと思いました。
楊 そうですね。かつて台湾では、歴史小説はほとんど書かれてきませんでした。そこで、「歴史百合小説」という新しいジャンルを生み出すことにしたのです。
角田 台湾は、アジアで初めて同性婚が法制化されたり、ジェンダーレストイレがどんどん普及したりしていますね。
楊 はい。そういえば資料を探すなかで、1920~70年代に活躍した作家・吉屋信子の『花物語』の存在を知り、日本ではこんな昔からシスターフッドについて書かれた作品があったのかと驚きました。台湾でもだんだんと興味をもつ人が増え、去年『花物語』が翻訳出版されたんですよ。
角田 私は何度か台湾を訪れていますが、この20年ですごく進化していると感じます。そうした社会の変化に小説が寄与した面はあるのでしょうか? それとも、社会の変化に伴って小説もどんどん自由になっていくのか、そのあたりの関係をぜひ知りたいです。
楊 小説の進化と社会の進化は、互いに影響し合うものだと思っています。たとえば台湾では、90年代にBL小説・漫画がすごく流行ったのですが、そのBL漫画愛好者のグループがレインボーパレード(性的マイノリティの権利や差別解消などを求める運動)に参加するという流れも生まれていますから。






