小学一年生をおんぶすらできず…

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そうして日常生活と体育での必要最低限の範囲内でしか身体を動かさずに、私は育った。

小六の春、新一年生を迎える会で六年生が一年生をおんぶして体育館の端から端までを歩くという企画があった。ごく平均的な体格のペアの子を、私は背負って立ち上がることすらできずに崩れ落ちて転び、一年生に「大丈夫ですか?」と心配された。周りのみんなは難なく一年生を背負って歩き出していた。そのくらい私は力がないのだと知った。

それでも当時はまだ膝が痛くなったりはせず、日常生活に支障はなかったため、対策する気にはならなかった。小五で転校してからは友達がいなかったのと、田舎ゆえ散歩もつまらないし行きたいところもなかったので、放課後や休日に出かけることすらも滅多になく、たまにあっても親の車に乗せてもらうだけだった。

高校を卒業して上京してからは徒歩移動が増えたので、棒のごとく真っ直ぐだったふくらはぎの内側が、数ヶ月で盛り上がった。

そんな私だが、去年始めた卓球は、さほど苦手ではない。人並みとまではいかないが、壊滅的ではなく、普通に下手くらいのレベルだと思う。おそらく、動体視力や反射神経はそれほど悪くはなく、パワーとコミュニケーションを要さない個人競技であれば、なんとかスポーツとして成立させるくらいの能力はあるのではないかと思えてきた。