襦袢はかなりの枚数を持っています。半襦袢は袷が14枚、夏用が7枚。裾よけは袷が19枚、夏用は5枚。袷の半襦袢は汗をかく胴の部分を木綿で仕立てた実用的な仕様で、夏の半襦袢はほとんどが麻製。麻以上に快適な襦袢はないのではないでしょうか。

どちらも汗をかいたらすぐに気軽に手洗い出来るのは、布の分量が少ない半襦袢だからこそ。これは半襦袢の大きな利点です。

足袋は、以前は「くのや」さんに入っていた「銀座めうがや」さんが好みでしたが、くのやさんが扱わなくなってからは新富町の「大野屋(おおのや)總本店」さんをひいきにしています。誂え型を作らなくても出来合いの型が何種類もあり、たいていの方がそれで合ってしまいますし、更にこはぜの位置の調節もしてくださいます。

足袋は一日履いたら洗います。手洗いではなく洗濯機洗いでも型崩れはまったくありません。常に5、6足用意しておき、とっかえひっかえにしています。ただし礼装用は別に取っておき、真っ白なものを履くようにしています。

きものの皺は寝押しで取ります。一日着たらどうしたって皺がつきますが、たたんで上に布団を敷いて、一晩寝るだけで起きたら皺はきれいに取れていますから、アイロンより何倍も簡単です。

ほのかな体温の温かみも糸には良いのかもしれません。結城紬などはこの寝押しをすることでいい具合に柔らかな風合いに変化していきます。

 

九十一歳、銀座きもの語り』(村田あき子・西端真矢:著/KADOKAWA)