2025年度大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。日本のメディア産業・ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物〈蔦重〉こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描いたドラマもついに完結。そこでクランクアップ後の感想を、天才絵師・喜多川歌麿を演じた俳優・染谷将太さんに伺いました。(取材・文:婦人公論.jp編集部 吉岡宏)
「歌麿」として生きて
“歌麿”として生きたこの一年をあらためて振り返ってみると、どこか不思議な経験でした。役柄的に、これまで抱いたことがないような感情を覚えることが多かったように思います。
「怒り」といっても、ひと言で言い表せない「怒り」であったり、蔦重に対して「愛情」があるといっても、歌麿自身がどういう感情なのか、最後まで処理できていなかったり…。
そういった複雑な感情を抱くことになった日々は、役者としても一人の人間としても、とても貴重な経験になりました。
蔦重とのやりとりはもちろん、途中で妻のきよさんを失ったりして。本当に泣いたり笑ったり、怒ったり愛したり、せわしなかったんですけど(笑)。
それも含めて充実していました。