許されてるみてえな気がしたんだ

耕書堂での集まりから、先に席を立った歌麿。

「もうお帰りで?」とていがたずねると、歌麿は少し照れたようにして「仕事が溜まっちまっててさ」と微笑みます。

一歩近づき、写楽の件で力を貸してくれたことへの感謝を、改めて言葉にしたてい。そして深く頭を下げます。

しかし歌麿は「こちらこそ、ありがた山でした」と応じると、晴れやかな表情で店内を見渡しました。

「何か……許されてるみてえな気がしたんだ」

重政、政演、政美、一九、春朗、蔦重、南畝、三和、まぁさん、源内先生。写楽の絵を通じて、身寄りがなかった自分が彼らと溶け合い、確かにこの場の一部になれた、と語った歌麿。