転機は、40代半ばに差しかかったある日。僕が主宰する劇団のホームページを通じて、1通のメールが届いたんです。差出人はドラマのプロデューサーで、「この期間のスケジュール空いていますか?」と書いてある。

なんでも、野田秀樹さん演出の舞台『THE BEE』(2021年)に立つ僕を見て、連絡をくださったとか。仕事の内容も聞かされないまま「空いています」とだけ返事をして会いに行くと、『VIVANT』の出演オファーだったんです。ものすごく驚きましたし、夢かと思いました。

幸運だったのは、スケジュールが奇跡的に合ったこと。舞台の仕事は数年先まで予定が決まっているのが常ですが、コロナ禍の影響で延期や中止になり、そこだけぽっかりと空いていた。運命的なめぐり合わせとしか考えられません。

またとないチャンスを手にすることができたのは、僕がいろいろな人に「映像の仕事がしたい」と言い続けてきたからだと思います。心の中で願うだけでなく、「こうなりたい」と実際に言葉にして周りに宣言することで、自分自身に責任が生まれる。言ったからには期待を背負って頑張らなければと、自ずと行動するでしょう。

僕はデビュー時から「大河ドラマに出る」とも言い続けていて、「5年後には必ず」「10年後は……」と先延ばしにしていたのですが(笑)、このたび『豊臣兄弟!』への出演が決まり、ようやく夢がかないました。

普段何も考えていない人のもとに幸運が突然降ってくることは、きっとありえない。僕はこだわりが強くて、一つのことを成し遂げるのに時間がかかる人間なので、夢や信念を口に出しながら頑張る必要がある。それを諦めずに続けてきたから、運がめぐってきたのかもしれません。