歩き方を研究してきた自分にしかできない役

昨年公開の映画『8番出口』も、僕にとっては運命の出合いでした。この作品は世界的に人気のゲームを映画化したもので、地下通路から出られなくなった二宮和也さん演じる「迷う男」が、地上に戻るための出口を目指す物語です。

僕が演じた「歩く男」(通称・おじさん)は名前の通り、ひたすら規則正しく歩く役。脚本を読んで、もしかしたらこれは自分にしかできない役かもしれないと思いました。

なぜかというと、僕はこれまで「歩く芝居」にとくにこだわり、研究してきたからです。人の歩き方は骨格や筋肉のつき方、生きてきた背景によって千差万別で、舞台上では歩くシーンがいまだに一番難しい。僕にとってこれは挑戦しがいのある役であり、最も適した《壁》だと感じました。

そのぶん、プレッシャーも大きかったです。世界中の「おじさんファン」をガッカリさせてはいけませんし、川村元気監督からは「限りなくCGに近づいた人間の不気味さを表現してほしい」と注文されて、そんなことできるかいな、と(笑)。

自分なりに歩き方を考えて迎えた撮影初日は、めちゃくちゃ緊張しました。幸い、一発で「これだ!」と監督をはじめ皆さんが沸いてくださって。いやあ、あの時は心底ホッとしましたね。

映画が大ヒットしたおかげで、こんな怖い顔でも街中で声をかけてくださる方が増えました。とくに帽子を被っていないと気づかれることが多くて……。

しかも6歳の息子と出かけると、ところかまわず「ここに『8番出口』の河内大和がいます!」と言うので、ヒヤヒヤします(笑)。でも、こうして息子が自分の仕事を認識してくれていることは、とても嬉しいです。

後編につづく

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