「富士丸な日々」というブログを始めた
それでもクビにしなかった社長には感謝しているが、やることがないから出社しても暇で仕方ない。だから2005年「富士丸な日々」というブログを始めた。ライター見習いだったから文章の練習のつもりだった。
当時は人気ブログランキングなどが注目されている時代だったが、「富士丸な日々」のランキングがぐんぐん上昇していき、半年も経たずペット部門で1位になった。
すると、あちこちの出版社からオファーが来るようになり、2006年には初の著書が出版された。その後も取材や出版の依頼が来る度、すべてを引き受けていた。
当時の私はそんな状況をどう捉えていたかというと、「この人気は一過性のものだな」と冷めていた。長らく鳴かず飛ばずだったバンド活動の経験から世の中そんなに甘くはないと思っていたし、今のうちに次のことを考えておかないとブログ人気の波が引いたら終わる、と考えていた。
だから取材に来る雑誌の編集者に「エッセイも書けますよ」などと言って逆営業してみたりしていた。エッセイなんて書いたこともなかったのに。
そしたらありがたいことに本当にエッセイの依頼が来て、初のエッセイ本を出したり、犬の悩み相談や、犬とのお出かけスポットを紹介する連載なんかもやるようになった。ひとつだけ、あるレコード会社のアルバムを紹介する連載もしていたが、それ以外はすべて富士丸絡みだった。
そうしていく中、37歳で私は独立してフリーライターになった。そのほうが稼げるからという理由ではなく、仕事もないのにデザイン事務所に籍を置いているのが申し訳ないと思ったからだ。
山のくだりに早く行くためはしょりまくっているが、結構大変な道のりだった。
相変わらずその頃の私も冷めていて「今は富士丸のしっぽにつかまって空を飛んでるだけだから、早く地面に降りて自分の足で歩きたい」と思っていた。