この土地にしよう

土地探しは、簡単ではなかった。良いところがあっても価格が高すぎる。安い土地は日当たりが悪かったり、不便だったりする。山梨あたりから蓼科まで色々見て回った。インフラの整った別荘地がいいと悟ったのもこの頃だ。

土地探しと並行して、ハウスメーカーと一緒に家のプランも練った。リビングは広めで、富士丸がどこでも自由に行き来できるようにする。そんな希望を伝え、プランを作ってもらう。それで出てきた案を、後日少し修正する。その過程がすごく楽しかった。

休日の度に、ハウスメーカーの担当者が土地探しに付き添ってくれた。どれくらいの期間探しただろう。半年くらい経った頃だったか、蓼科の別荘地でやっと手頃な土地を見つけた。価格は300坪で500万。けれどそのうち200坪は急な斜面になっている。だから実質使えるのは100坪ほどだったが、ハウスメーカーの担当者曰く「それだけあれば十分ですよ」とのことだった。

近くでクンクン匂いを嗅いでいる富士丸を呼んで聞いてみる。「どう? ここ気に入ったか?」。

すると寄ってきた彼は、なんだたいした用があったわけでもないんだと、またそのあたりの匂いをかぎ始めた。ご機嫌なようだ。そこで、この土地にしようと決めた。

それから、住宅ローン申請の手続きをしながら、土地の持ち主とも交渉を重ね、土地の売買契約をする日時が決まった。それまでに手付金を払い、契約後に残金を支払い、あの土地が私と富士丸のものになる。そう思うと、心が弾んだ。