「察する力」は、日本人の武器である

さらに、日本が世界でも有数の災害大国であることや、狭い島国ゆえの密接で複雑な人間関係も、この遺伝子形成に関係していると考えられます。

「地震、雷、火事、オヤジ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、昔から日本人が恐れているものを上から順に並べたものです。

ここからも読み取れるように、地震や台風といった自然災害が多い日本では、古くから天変地異の予兆を「不安」として敏感に察知し、危機に備える能力が高いほうが生き残る上で有利でした。

また「オヤジ」は、現代における学校や職場、近所付き合いなど、逃げ場のない島国における人間関係の象徴とも言えます。周りの人に嫌われると生活しにくくなるため、他人に気を遣い、波風を立てないように立ち振る舞うことが正しいとされ、生存戦略の一つとなりました。これは、対人関係における「不安」を敏感に察知する能力とも関連します。

このように、日本人にとって「疲れやすい」「痛みに弱い」「不安を感じやすい」といったS型遺伝子に関わる性質は、決して弱点なんかではありませんでした。

むしろ、自然災害や複雑な人間関係から自分の身を守るための優れた危機管理能力として、古来の日本では大きな「武器」だったのです。

※本稿は、『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

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