DMNは「過去と未来をつなぐ回路」である
現在、DMNの主な働きは、次の二つであると考えられています。
・モニタリング機能:現在地を知る「地図」
・アイドリング機能:未来へ向かう「準備室」
まず「モニタリング機能」とは、自分自身の状況を冷静に見つめ直し、客観的に振り返る働きのことです。
それはまるで、あなたの人生を俯瞰する「もう1人の自分」のよう。感情や本能に突き動かされた反射的な行動はもちろん、過去に理性で下したはずの行動までも、
「本当にこれでよかったのか?」
「間違いはなかっただろうか?」
と、一歩引いた視点から確認するシステムです。
これは、単に行動だけでなく、「他者や社会との関わりの中で、自分自身を見つめ直す働き」も担っています。
哲学者のデカルトが言った「我思う、ゆえに我あり」のように、自己を俯瞰するための極めて哲学的な活動とも言えるでしょう。
そしてDMNは、単に過去や現在を見つめるだけにとどまりません。
もう一つの重要な働きが、あなたの未来を創り、よりよい意思決定へと導くための「アイドリング機能」です。
ぼんやりしているとき、DMNは過去の経験や現在の状況を整理し、そこから導き出される知見をもとに、将来の意思決定や行動のシナリオをシミュレーションしてくれているのです。
ここまでをまとめると、具体的には、次のような作業が脳内で行なわれています。
・過去の経験の「整理」と自己への「理解」
→これまでの仕事の成功や失敗、人間関係での出来事を頭の中で反芻(はんすう)し、「あのとき、なぜああしたのか?」「今の自分の強み、弱みは何か?」といった、自分の現状を深く理解するために役立つ情報を整理する
・現状の「立ち位置の確認」と「役割の再認識」
→会社でのプロジェクトにおける自分の立ち位置や、家庭での役割など、複雑な状況の中で「自分が今どこにいるのか」を冷静に見つめ直す
・未来のシナリオと行動の「予行演習」
→「来週の重要なプレゼンで、もし**という質問が来たらどう答えるか?」「新しいプロジェクトで問題が発生したら、どの手順で解決するか?」といった、将来起こりうる具体的な状況を頭の中でシミュレーションする
最後の「予行演習」のようなDMNの役割は、まるで自動車がエンジンをかけ、アクセルを踏み込めばいつでも発進できる準備をしている(アイドリング)状態とよく似ています。この「いつでも動ける状態」を維持するために、それなりのガソリン(エネルギー)を消費することは納得できると思います。
※本稿は、『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(著:奥村歩/三笠書房)
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