日本人より生魚介を食べる唯一の地域
魚介類も豊かである。イタリアでも唯一プーリアだけだが、魚介を生で食べる。シチリアやナポリでも魚介をたくさん食べるが、火を通さずに食べるのは、せいぜいマグロか鯛まで。それもカルパチョのように塩や酢などでしめる。
しかし、プーリアでは、イイダコや小さなイカもその姿のまま丸ごと生で食べる。牡蠣やウニはもちろん、ムール貝やあさり、蛤などの二枚貝も、レモンをかけてそのまま食べる。このほか、黒トリュフのような形状で中身はウニのような貝など、見たこともない海の幸にも出合うが、どれも生食する。それは、アドリア海は地中海よりも海水の塩分濃度が高く、殺菌効果があるためであると地元漁師が教えてくれた。
プーリアには、山の幸も多く、肉料理が豊富である。特にソーセージ類は有名で、例えば長いソーセージを渦巻き状にしたサルシッチャ・プリエーゼは、炭火で豪快に焼いて食べる。これも地域によって豚100%であったり、牛とミックスしたり変化がある。
※本稿は、『イタリア食紀行-南北1200キロの農山漁村と郷土料理』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『イタリア食紀行-南北1200キロの農山漁村と郷土料理』(著:大石尚子/中央公論新社)
「隣町に行けば言葉もパスタも変わる――。」
イタリア料理は味わいのみならず、多様性が魅力。地域の風土・歴史に根ざした食材や伝統料理法が受け継がれているのだ。
南・北・中央・島々をめぐり、ポベラッチャ(貧乏食)の知恵を足と舌で探る。 またアグリツーリズムや有機農業、スローフード運動など、地域再生のソーシャル・イノベーションにも注目。




