演出家の白井晃さんには、シェイクスピア特有の説明的なセリフ回しになってしまう僕の癖を、徹底的に直していただいて。その教えがなければ、映像で通用していなかったでしょう。

そして、僕が舞台にのめり込むきっかけとなり、大学時代から憧れていた野田秀樹さん。僕が参加したワークショップに野田さんが見学にいらしたところからご縁ができ、『THE BEE』ではメインキャストとして起用してくださって。それがドラマの出演につながった。僕がここにいられるのは、多くの人との出会いがあったから。本当に感謝しかありません。

こうして振り返ると、僕は人に憧れる気持ちが強いんでしょうね。だから、近づくためにもっと頑張ろうという気持ちが湧くし、嫉妬心も強くなる。僕にとって嫉妬心は、前進するための大きなエネルギー。いろんな憧れが集まって、今の僕が形成されているような気がします。

何しろ若い頃の僕は、コンプレックスの塊でしたから。一重まぶたの目や薄い眉、自分の容姿すべてが嫌いでした。大学生の頃から髪の毛がどんどん薄くなったのも、本当につらくて。ある時期からスキンヘッドにしたものの、このままではスキンヘッドの役しかできないという新たな悩みも生まれてしまった。

そんな時、声優の大塚明夫さんがロン毛にしているのを見て、また「カッコいい」と憧れて(笑)。それで髪を伸ばしてみたところ、「これならイケるかも」と思ったんです。髪が長いとシェイクスピアの舞台でリアリティが出るし、『VIVANT』ではモンゴル人風の風貌がしっくりハマった。

そして周りからいただく評価が少しずつ積み重なり、やっと自分の容姿を受け入れられるようになりました。今では、このビジュアルでよかったと思っています。『豊臣兄弟!』の撮影でも、地毛を結べばちょんまげ姿になるのでラクですよ(笑)。仕事がうまく回り始めたのは、自分のままでいていいと思えたことも、影響しているのかもしれません。