高齢者の死には「あっけなさ」がある
90歳を過ぎたおじいちゃんが、施設の職員が押す車いすで見舞いに来たお孫さんを玄関まで見送り、手を振って別れたあとで車いすに座ったまま息を引き取ったという話を聞いたことがあります。
お孫さんは何も知らずに車で帰宅し、家に着いてからおじいちゃんが亡くなった報せを受けます。あわててまた施設に戻ったら、ベッドの上で眠るように死んでいたそうです。
「あんなに元気に手を振ってくれたのに」とお孫さんはおじいちゃんの死に立ち会えなかったことを悔やんだそうですが、そういう「あっけなさ」が高齢者の死にはあります。
長く生きて身体も衰え、最後は生命が尽きてしまう。
高齢になって迎える死のほとんどは、目の覚めない眠りにつくのと同じだということになります。
