家族は人生という学校の“同級生”のようなもの

子育ては、基本的に子どもが12歳くらいまでに一区切りがつきます。

そのあいだに教えるべきなのは、社会のルールと、人格形成の基礎。それ以降は子ども自身が“どう生きたいか”を探り、親は必要に応じて支えに回る段階へと移ります。

『家運隆昌-幸運を招き入れる暮らし方』(著:江原啓之/中央公論新社)

とはいえ、子どもは大人と同じように進路についての考えを完全に言語化できるわけではありません。だからこそ親は、「どうしたいの?」「何になりたいの?」と、子どもの言葉を無理に引き出したり、誘導したりしないことが重要です。

親が丁寧に聞き取っているつもりでも、そこに親の願望や期待が混じるのはよくあること。すると、子どもの本心はたちまち曇ってしまいます。

子どもが自然に示す「好き」「やってみたい」という芽ばえを尊重し、無理に方向づけず、その流れをそっと応援する――これで十分です。そして、進学や習い事など、親の支えが必要なときには、子ども自身の口で「お願いします」と伝えさせること。これは単なるマナーではなく、自分の人生を自分で動かす主体性の第一歩です。親が察してすべてを整えてしまえば、主体性は育ちません。自分で願い、選択し、協力を求めるという経験が、心の自立を形づくるのです。

こうした関わり方ができていれば、大人になってから「親のせいでこうなった」と責任転嫁するような人にはなりません。自己憐憫、責任転嫁、依存心という“不幸の三原則”が根づくかどうかは、子ども時代の親子関係、とくに距離感の持ち方によって大きく左右されるのです。

家族であっても、たましいは別。同じ家に暮らし、深い絆を持ちながらも、互いの人生を尊重する独立性は保つ。家族は、人生という学校の“同級生”のようなもの――この認識が整っていれば、家族関係は驚くほど円滑になります。