今日のヘルパーさん
イライラする私にまったく気づかず、義父は追い打ちをかけるように言い出した。
「このまま真っ直ぐ家に戻ってくれ。あの子が可哀想や。お昼ご飯がないんやから、待たせるわけにはいかん、いますぐハンバーガーを買いに行ってくれ……」
この発言にはさすがの義母も「はぁ?」と言っていた。私は二人を病院に連れて行くために仕事を休んでわざわざこんなに遠いところまで車を飛ばして来ているというのに、息子がダブルチーズバーガーを買ってきてと言ったぐらいで、なぜ病院からマクドナルドに行き先を変える必要が!?
堪忍袋の緒が切れて「病院には行く!」と大声を出してアクセルを踏み込んだ私の勢いに圧倒されたのか、車内は静かになった。おんぼろ車のエアコンから出るピューピューという音だけが響いていた。
帰り道は運転手の私が完全無言となった車内で、義母が「今日のヘルパーさんは恐いわねえ……」と小声で言っていた。
そのヘルパーさんは私や。
夜に義母から電話があり、「今日のヘルパーさんは乱暴な人でした。あなたに報告しようと思って」と、まだ言っていた。「お父さんも、『あれだけきつかったら周りもタジタジやろ』と言ってました」ということだった。
ええ根性しとる。
※本稿は、『義父母の介護』(村井理子)の一部を再編集したものです。
『義父母の介護』(著:村井理子/新潮社)
認知症の義母と90歳の義父。
仕事と家事を抱え、そのケアに奔走……。
ホンネ150%、キレイごとゼロの超リアルな介護奮闘記。





