カバー曲についていえば、母の歌はどれも歌うのが難しい。今回、アルバムに入っている「横須賀ストーリー」は、なかでも苦労した作品です。歌いまわしだったり、ブレスのタイミングだったり、あるいはビブラートをかける位置だとか、ちょっと違うだけで、伝わり方も変わってくる。そもそも、演じながら歌う、といったドラマ性の強い楽曲です。

以前、母にこの曲のことを聞いたら「難しいよね」と言っていたので、母にとっても手強い作品だったのでしょう。でも、難しいからこそチャレンジのしがいもあるというものです。

歌に関して、母からとくにアドバイスを受けることはありません。実家に帰ると、音楽の話よりも、たいていバラエティ番組の話題で盛り上がるんです。(笑)

ただ、僕が母の歌い方に倣って気をつけていることがあるとすれば、「が・ぎ・ぐ・げ・ご」などの鼻濁音の発声ですね。曲の雰囲気にも影響するし、何より日本語をきれいに伝えるうえでの重要なスキルです。だから、そこはしっかり意識するようにしています。

オリジナル曲にしろ、カバー曲にしろ、自分では音楽のジャンルをとくに決めてはいません。どんなものでも歌いこなせる歌手であることが目標ですから。

47都道府県ツアーで、各地の方々に少しは「三浦祐太朗」という歌手を知っていただけたと思います。これからも、一人でも多くの方に僕の生の歌を聴いていただけるよう、来年もツアーをやっていきたいし、並行して、また次の新しいアルバムもつくりたい。

35歳……歌うことがますます好きになっています。