周辺では不審死だけでなく、不審火も続発していた

私は2年ほど美由紀と面会や文通をしたが、最後は付き合い続けるのが難しくなり、取材は辞めさせてもらった。その後、鳥取に取材に行き、驚いたことがあった。

美由紀の裁判では、被害者である矢部和実さんが自宅で美由紀と食事した際に眠り込み、美由紀の帰宅後に室内でボヤが発生したことがあったと判明していた。実は他にも2件、美由紀の周辺で火災があったのだ。1件目は2001年11月、美由紀が最初の結婚相手と暮らしていた県営住宅で隣人の部屋が全焼したという事案。もう1件は2009年6月、美由紀と共に取り込み詐欺をしていた安東の実家の2階建ての土蔵が全焼したという事案だ。

地元の人はすべて美由紀の犯行を疑っていたが、真相は不明だ。ただ、矢部さん宅のボヤ騒ぎも含め、美由紀の周辺で不審な火災が3件あったわけで、あまりに不気味だ。

この美由紀の人格はいかに形成されたのか。謎を解くカギは成育歴ではないかと私は思っていた。美由紀は両親から愛情を注がれて育ったと言いながら、その具体的エピソードを一切語らなかったからだ。真相を解明するまでは取材が及ばず、心残りだ。

※本稿は、『実録 死刑囚26人の素顔』(宝島社)の一部を再編集したものです。

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実録 死刑囚26人の素顔』(著:片岡健/宝島社)

多くの死刑囚を取材し、手紙も交わしてその素顔に迫る、ジャーナリストの片岡健。

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